コレを見つけたらわざわざ10年年金に頼らなくても過去に遡って年金が貰える話。
こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです。
今回はカラ期間を見つけて遡って年金受給ができた場合で話をしたいと思います。
もう何度も今まで記事には書いてはきましたが、これまでの老齢の年金は年金保険料納付済期間+年金保険料免除期間+カラ期間≧25年というのが大原則ではありましたが、
平成29年8月1日からは10年以上でOKという事になるわけです。
年金が貰いやすくはなりました。
ただ、大半の方々はカラ期間なんて知る機会も無く、
年金保険料を支払った期間や免除期間しか年金の期間に入らないという認識だと思います。
もし、カラ期間の存在を知っていたら…平成29年8月1日前に既に支給開始年齢に到達していて、
とうの昔に原則25年以上を満たしていたら遡って年金が受給できたりするわけです。
というわけで今回はカラ期間を使って25年以上を満たして、年金を遡り受給できる事例で見てみましょう。
カラ期間は年金受給資格期間には含みますが、年金額には全く反映しないからカラ(空)期間と呼ばれる。
1.昭和28年8月18日生まれの女性(来月64歳)
※何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!(参考記事)
↓
http://ameblo.jp/mattsu47/entry-12238615402.html
この生年月日の女性なら厚生年金期間が1年以上あり(平成27年10月からは厚年と共済合わせて1年以上でもいい)、
年金受給資格期間25年以上満たしてるなら厚生年金が60歳から既に貰える人。
※厚生年金支給開始年齢(日本年金機構)
↓
https://www.nenkin.go.jp/yougo/kagyo/kounen-kaishi.files/kaishi.pdf
この女性の年金記録。
20歳になる昭和48年8月から昭和51年3月までの32ヶ月間は昼間学生だったが、
平成3年3月までは昼間学生は国民年金には加入してもしなくても良かったから加入しなかった(未加入だから国民年金保険料は支払わず)。
昭和51年4月から昭和61年8月までの125ヶ月間は海外に居住(日本人の海外居住者は昭和61年3月までは国民年金適用除外だった。昭和61年4月1日以降は国民年金に任意加入できますが、任意加入しないならカラ期間)。
昭和61年(1986年)9月から平成10年(1998年)6月までの142ヶ月間は厚生年金。
この間の平均給与(平均標準報酬月額)は220,000円とします。
平成10年7月から平成19年5月までの107ヶ月はサラリーマンの夫の扶養に入り国民年金第3号被保険者となる(国民年金保険料は支払わないが納付済扱い)。
平成19年6月から平成23年6月までの49ヶ月は未納。
平成23年7月から60歳前月の平成25年7月までの25ヶ月国民年金保険料全額免除。
原則は20歳到達月から60歳到達月の前月までの480ヶ月が国民年金強制加入。
さて、この女性の場合ですが、本人としては保険料を支払ったのは厚生年金期間142ヶ月で、
後は夫の扶養に入った期間107ヶ月と免除期間25ヶ月は年金の期間に入ると知っていたが、カラ期間という存在は知らなかった。
だから、この女性は厚生年金期間142ヶ月+夫の扶養に入ってた期間(国民年金第3号被保険者)107ヶ月
+国民年金保険料全額免除期間25ヶ月274ヶ月<300ヶ月(25年)に満たってなかったから年金貰えないと思っていて放っていた。
年金受給資格期間が10年に短縮されるから平成29年8月1日以降からやっと年金が貰えると思ったら、
なんと4年前の60歳に遡って厚生年金が貰えるという事を知る。
それは、昔の昼間学生だった32ヶ月間と海外に居住していた125ヶ月間がカラ期間になり、
厚生年金期間142ヶ月+国民年金第3号被保険者期間107ヶ月
+国民年金保険料免除期間25ヶ月+カラ期間157ヶ月≧300ヶ月(25年)になり余裕で年金受給資格期間を満たしていたから。
よって60歳になった平成25年8月の翌月である9月分に遡ってまず142ヶ月分の老齢厚生年金が貰える事になった。
初請求したのは平成29年6月とすると、平成25年9月から平成29年5月まで貰わなかった45ヶ月分の老齢厚生年金が一時金で支払われる
(一時金とはいえ一時所得にはならず、過年毎の公的年金等に係る雑所得になるので過年毎の枚数の源泉徴収票が送られてくる。
だから場合によっては税金の修正申告等が必要になる事があるので税務署に要確認)。
老齢厚生年金額(報酬に比例する部分)を算出してみる→220,000円÷1000×7.125×142ヶ月=222,585円(月額18,548円)
遡って一時金で支払われる額→18,548円×45ヶ月分=834,660円
※注意
単純に平成29年度金額で算出しています。
当時の年金額に物価変動や賃金変動分は加味していないので、実際は金額に誤差が出てきます。
平成29年8月からは前2ヶ月分(6,7月分)を偶数月に支払う。
つまり、18,548円×2ヶ月=37,096円の支払い。
ただ、平成29年6月に初請求だから年金振込は平成29年9月15日になるでしょう。
よって、平成29年9月に60歳までの遡り分834,660円+平成29年6月と7月分合わせて37,096円=871,756円振込み。
また、この女性の生年月日だと平成29年9月分から定額部分という年金が加算されて年金額が増える。
※定額部分→1,625円(平成29年度定額単価)×142ヶ月=230,750円
だから平成29年9月からは今までの報酬比例部分222,585円+定額部分230,750円=453,335円(月額37,777円)となる。
よって平成29年10月年金振込は8月分の18,548円+増額した9月分37,777円=56,325円になる。
そして、平成29年12月支払い以降65歳までは37,777円×2ヶ月=75,554円の振込み。
このようにカラ期間があれば、平成29年8月1日以降の分からしか年金がもらえないではなく本来の年金支給開始年齢から遡って貰えたりするので、よくカラ期間を探してみましょう^_^
※注意
カラ期間は種類によっては一部年金機構に記録として確認できるものもありますが、基本的に自ら申告してもらわないとわからない。
ただ、年金受給資格期間が足りてない人にはカラ期間については年金事務所では説明される。
というわけで10年年金で年金もらえるようになっても、途中で過去のカラ期間が見つかると遡って年金が貰えるかもしれません!
年金の遡り受給って割とあるから侮れないんですよ(^^;;
ただし遡る場合は年金の時効の過去5年分までなので注意。
5年を超える分は時効で貰えなくなる。
あと、仮にこの女性が亡くなった場合に遺族に支給される遺族厚生年金は年金の受給資格期間が25年以上ある人の死亡になるので、
死亡時点で生計維持が認められる一定の遺族がいれば遺族厚生年金や遺族基礎年金が支給される。
例えば死亡した人に本当に10年以上25年未満の期間しかないのであれば遺族厚生年金や遺族基礎年金が支給されない事態になりかねないので、
遺族年金の事を考えるなら25年以上(カラ期間含む)を満たしておいたほうがいいですね。
25年以上無いのであれば、死亡日の前々月までに一定の年金保険料納付要件等が必要になりますのでしっかり確認しておいてくださいね!
※遺族厚生年金の支給要件(日本年金機構)
↓
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150424.html
※遺族厚生年金貰うための要件等(参考メルマガ記事)
↓
http://archives.mag2.com/0001666477/20170503200000001.html
※追記
ついでにこの女性の65歳からの年金額を算出してみます。
まず65歳からは老齢基礎年金が発生します。
老齢基礎年金の計算に含む期間は、特に何もなければ(60歳以降の国民年金任意加入等)、昭和36年4月以降の20歳から60歳までの期間で計算。
つまり、この女性なら厚生年金期間142ヶ月+国民年金第3号被保険者107ヶ月+
国民年金保険料全額免除期間25ヶ月=274ヶ月が老齢基礎年金の計算に使う期間となる。
厚生年金期間も含むのはくどいようですが、厚年期間や共済期間は国民年金にも同時に加入してるから。
ちなみに、平成21年4月以降の国民年金保険料全額免除は年金額の2分の1に反映(平成21年3月までは3分の1)。
老齢基礎年金額→779,300円(平成29年度満額)÷480ヶ月×(142ヶ月+107ヶ月+25ヶ月÷2)
=779,300円÷480ヶ月×261.5ヶ月=424,556円(1円未満四捨五入)
この時、65歳前に支給されてた老齢厚生年金の定額部分230,750円は消滅(老齢基礎年金に移行する為)。
昭和60年改正の時に定額部分は廃止されて、その代わりとして今の老齢基礎年金が支給されるようになった。
定額部分は支給開始年齢引き上げと共に経過的に現在も65歳前に支給されているだけ。
ただし、定額部分と老齢基礎年金の差額を埋める為に差額加算(普通は経過的加算と呼ぶ)を支払う。
差額加算(経過的加算)→定額部分1,625円×142ヶ月-
老齢基礎年金満額779,300円÷480ヶ月×142ヶ月(昭和36年4月1日以降20歳から60歳までの厚生年金期間)=
230,750円-230,543円=207円。
よって、65歳からの年金額は老齢厚生年金(報酬比例部分222,585円+経過的加算207円)
+老齢基礎年金424,556円=647,348円(月額53,945円)
あと、この女性に夫が居て、その夫に20年以上の厚生年金期間や共済組合期間または、
両者合わせて20年以上ある年金を貰っていて配偶者加給年金が夫に加算される条件が整っていたなら、
この女性の65歳以降に振替加算が加算される場合があります。
仮にこの女性が65歳時点で既に夫に配偶者加給年金が付いていたとします。
となると夫に付いてる配偶者加給年金は妻が65歳になったのを機に消滅して、振替加算に移行する。
振替加算は加算される配偶者の生年月日により異なりますが、
この女性の生年月日からだと年額62,804円が老齢基礎年金に加算される。
なお、昭和41年4月2日以降生まれの人には振替加算は付かない。
よって振替加算62,804円が加算されるなら、この女性の65歳以降の年金総額は647,348円+振替加算62,804円=710,152円(月額59,179円)となります。
※加給年金額と振替加算額(日本年金機構)
↓
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kakyu-hurikae/20150401.html
0コメント