20歳前に患った重い病気や怪我も年金が保障してくれるのか(20歳前障害による障害基礎年金)。
年金に加入してる場合、万が一の障害を負うと障害年金という強力な社会保障があります。
闘病が長引くと、お金の不安やどうしても家族へ申し訳ないという気持ちになりがちですよね。
闘病中というのはいろんな不安が頭を駆け巡ります。
特にお金に関してはそういう思いが強いと思います。
でも闘病中の本人に入ってくるお金さえあれば金銭面の問題だけでなく、
精神的な不安や家族への申し訳ないという気持ちを軽減させて治療に専念する事が出来ます。
そういう面でもとても大切な社会保障が障害年金なんです。
さて、障害年金はその障害で初めて病院に行った日(初診日という)に加入していた年金制度により、支給される障害年金が変わります。
例えば、20歳以上で自営業、学生、フリーター、無職の時の国民年金加入中に初めて病院に行ったならば障害基礎年金(2級まで)。
サラリーマンや公務員期間中に初めて病院に行ったなら、障害厚生年金というふうになります(3級まで。2級以上は障害基礎年金も同時支給。配偶者が居れば年額224,300円も加算)。
なお、初診日というのは今の病院の初診日ではなくその傷病で初めて病院に行った日が障害年金でいう初診日になる。
この初診日ってめちゃくちゃ大事な日なんですよ。
この日が確定しないと障害年金は原則として請求出来ない。
また、初診日という「保険事故」が起こる前に一定の年金保険料を納める、または免除期間である必要がある。
初診日の前日において初診日の前々月までの年金保険料を納めなければならない期間がある場合は3分の1を超えて未納が無ければ請求可能。
または、特例として初診日の前日において初診日の前々月までの直近1年以内に未納が無ければ請求可能(65歳以上の人はこの特例は不可)。
なぜ、「初診日の前日において」かというと初診日という保険事故が起きてから保険料を慌てて納めて、
保険料納付期間を満たすという後出しジャンケンさせないため。
だから、保険料が支払うのが困難な人は最低でも年金保険料を免除して未納を防いでほしいというのはこの為。
免除は未納ではない。
保険料免除申請は免除になるかどうかは所得次第ですが、免除申請は市役所で5~10分もあれば完了する。
なお、初診日から原則として1年6ヶ月経過した日(またはそれまでにもう治しようがなくなったならその日→治った日ともいう)から障害年金の請求が可能となる。
1年6ヶ月経過した日を「障害認定日」という。
なぜ初診日から1年6ヶ月間も請求出来ないかというと、その傷病が一過性のものではない事を見るため。
よって、障害年金を請求する人は慢性的な傷病とか治療が長引く傷病、
もう治しようがないもの(腕や脚を失ったとか)に該当する人が主に請求するパターンになる。
大体、最初の取っ掛かりの初診日がいつだったかがハッキリしなくて請求に漕ぎ着けない人が多い。
また、初診日がわかっても初診日前に未納が多くて障害年金を断念せざるを得ない人も割と居る。
未納が多くて請求できないというのはもうホント泣くに泣けない事態なので未納だけは避けてほしい!
初診日や一定の年金保険料納付要件、初診日から1年6ヶ月の障害認定日さえクリア出来れば、
後は医師に書いてもらう診断書次第(診断書は病院独自のものではなく年金専用のもの)。
受給できるかどうかは個人的な感覚として概ね9割がた診断書の内容で決まる。
※障害認定基準と1~3級までの障害の程度の目安(日本年金機構)
等級の目安はこのPDFの8ページに。
↓
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20140604.files/zentaiban.pdf
ちなみに、「障害」っていう名前が付いてるから障害者手帳が無いとダメとか、
寝たきりになったとか半身不随とか知的障害者の方のように凄く大変な人じゃないと請求出来ないものとよく誤解されますが、
大抵の病気や怪我に対応しているし、別に障害者手帳を持ってる必要はない(請求する時に手帳の有無を記入する欄はあるけどそれで不利になるとかはない)。
だから例えば、増加傾向の精神疾患(鬱病とか統合失調症、発達障害、てんかん等)のような病も普通に障害年金対象になる。
そういや、障害年金受給者のうち精神疾患と知的障害で6割くらいを占める。
まあ、むしろ何の傷病名なのかというか、その傷病でどのくらい日常生活に支障が出ているかという面が重要視される。
医師はあくまで病気を治療する専門家なので患者の日常生活上の事まではなかなか把握できないから、
日頃から医師に日常生活で困っている面をちゃんと伝える事が重要。
さて、国民年金には20歳になると国民全員が強制加入となり、
もしその加入中に初診日があれば障害年金の請求を考えて上記みたいな話になるんですが、
仮に20歳前の年金に加入義務のない未成年の時期に負った傷病は保障されないのか。
この20歳前に障害を負った場合は20歳以降は障害年金(国民年金からの障害基礎年金)を請求して受給する事ができる。
20歳までは年金保険料納める義務が無いから、
初診日が20歳前にあるのが分かりさえすれば後は20歳以降になったら医師に診断書を書いてもらって障害基礎年金を請求する。
※注意
請求が遅れても構わないけれど、遡れるのは過去5年分の障害年金まで。
例えば20歳前に初診日から既に1年6ヶ月経過してる人は20歳で請求可能(診断書は20歳前後3ヶ月以内の現症のものが必要)となりますが、
なんとか20歳前後3ヶ月の診断書が取れて請求を30歳でやれたとしても25歳までの年金まで遡って受け取る事になる。
20歳から25歳以前の分は時効で年金が受けれない。
さて、20歳前障害基礎年金は年金保険料を納めて万が一に備えてなかったとしても貰える福祉的な障害年金だから、所得制限がかかる。
普通の障害年金はいくら所得が高かろうが、働こうが障害年金が減らされたり年金が停止する事は無い。
20歳前に障害を負っても20歳以降は公的年金が保障してくれるんですね^_^
世間では公的年金は老後のものとの認識が非常に強いですが、若い人にも十分関係する制度。
ちなみに、障害基礎年金を貰うまでの20歳前の障害者の方への社会保障は2つある(所得制限有り)。
申請は市役所で。
ア.障害児福祉手当
これは精神または身体に重度の障害があり、日常生活において特別の介護が常時必要な20歳未満の在宅の人に支給される(月額14,580円)。
2月、5月、8月、11月に前月までの分が「本人」に支給される。
だから2月支給なら11月、12月、1月分の3ヶ月分の手当。
イ.特別児童扶養手当
20歳未満で精神または身体に障害のある児童を家庭で養育している「父母等」に支給される。
金額は1級が月額51,450円で、2級は月額34,270円。
支払い月は4月、8月、12月に前月までの分が支給される。
だから、4月支給なら12月、1月、2月、3月の4ヶ月分の支給。
これらの手当額は毎年度、公的年金と同じように物価に変動する。
前年は物価が0.1%下がったから今年度も年金と同じく0.1%下がっている。
そして20歳になれば、後は市役所または年金事務所で請求により国民年金から障害基礎年金の支給という流れになる。
まあ、障害基礎年金は普通は市役所で請求する(サラリーマンや公務員の扶養に入っている第3号被保険者の間に初診日がある人は年金事務所)。
※注意
20歳到達日時点で初診日から1年6ヶ月経ってない場合は1年6ヶ月経った日以降に請求する。
未成年である間は上記のような福祉手当で保障されますが、
成人した後の資金はどうすればいいか不安になるところですが、障害基礎年金が保障してくれるんですね。
障害基礎年金は定額で2級は779,300円(月額64,941円)で、1級は2級の1.25倍である974,125円(月額81,177円)。
障害基礎年金受給者に18歳年度末未満の子が居たり、後にまた子が生まれた場合は子の加算金が付く。
子の加算金は1人224,300円で、3人目以降は74,800円になる。
だから、障害基礎年金2級で18歳年度末未満の子が2人居たら、障害基礎年金779,300円+224,300円×2人=1,227,900円(月額102,325円)
障害年金は障害が続いている間はずっと受けられるが、
受給開始後は傷病の状態を確認するために1~5年間隔で更新の診断書の提出が求められる(傷病によっては一生提出不要で一生支給の人もいる)。
普通の障害年金は誕生月に更新の診断書が郵送されてきますが、
20歳前障害の障害基礎年金に限っては7月に診断書が届き、医師に診断書を書いてもらって7月末までに提出する。
その診断書の結果、2級以上の障害状態と認定されれば引き続き障害基礎年金が支給される。
3級以下に等級が落ちると障害基礎年金は全額停止になる。
なお、20歳前障害基礎年金は診断書とは別に毎年7月に届く所得状況確認届というのを市役所に提出しなければならない。
診断書は決まった1~5年間隔で出せばいいけど、所得状況確認届は毎年出さないといけない。
前年所得を確認して、その後の障害基礎年金を支給するかを決めるから。
冒頭述べたように、20歳前障害基礎年金は年金保険料を納めなくても貰える年金だから所得制限がかかるため、
前年所得によっては障害基礎年金が停止される。
単身の場合は前年所得が3,604,000円を超え、4,621,000円以内(給与収入で6,451,000円)だと、8月分から翌年7月分の障害基礎年金が半額停止。
例えば、さっきの障害基礎年金779,300円+子の加算金224,300円×2人分=1,227,900円の人であれば、
障害基礎年金が半額停止となって障害基礎年金389,650円+子の加算金224,300円×2人=838,250円となる。
前年所得が4,621,000円を超えると、8月分から翌年7月分までの障害基礎年金が全額停止する。
障害基礎年金が全額停止になるから、子の加算金も全額停止。
結構所得水準は高めだからあまり停止される人は少なめ。
また、次のような場合も支給されない。
ア.労災の年金が受けられる時。
イ.刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されている時(未決勾留の人は有罪が確定するまでは支給される)
ウ.日本国内に住所が無い時
エ.少年院その他これに準ずる施設に収容されている時
こういう制限は20歳前障害による障害基礎年金だけ。
なお、20歳到達時時点の障害の状態では障害基礎年金には該当しなかった為に年金は支給されなかったけども(必ずしも20歳の時に請求してなくてもいい)、
65歳になるまでに傷病が悪化した等の場合は事後重症請求といって障害基礎年金請求月の翌月分から支給される(初診日の証明は必ず必要)。
診断書は請求日以前3ヶ月以内の現症のもの。
65歳以上になると、事後重症請求は不可になるし、そもそも障害年金請求は一部の場合を除き不可になる。
65歳以上になると老齢基礎年金が貰えるから。
※追記
初診日を証明する場合は今の病院の初診日ではなくその傷病で初めて病院に行った日が初診日になるので、
転院してカルテ保存期間の5年を過ぎると初診日証明が難しくなる。
病院からもらった資料などは必ず保存しておきましょう。
それかあらかじめ、初診のある病院で受診状況等証明書という証明書を書いてもらっておくと請求がスムーズ。
ただし、最初からずーっと同じ病院に行ってるならわざわざ初診日の証明の書類を取ったりする必要はない。
ちなみに先天性の知的障害、先天性股関節脱臼(完全脱臼したまま生育)の人は出生日が初診日になるから初診日を証明する必要はない。
※編集後記
そういや僕は大学2年生の時に難病の潰瘍性大腸炎を発症してものすごく日常生活に困りましたね…(^^;)毎日毎日出血が酷くて。
それから数年単位で3回くらい再発しましたけど、障害年金請求には至らなかったですね。
まあなんとか働けてたのでですね^^;
ていうか、障害年金の存在自体知らなかったわけですが(笑)
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