今月の年金から0.1%減額!支払いに影響するのは6月支払い分から。
こんばんは!
年金アドバイザーのhirokiです!
ちょっと今回は年度も変わって年金額が変わるので、改めて書き加えてアレンジした記事です。
今年1月末の厚生労働省発表の平成29年度年金額は0.1%下がり、
老齢基礎年金満額は現在の780,100円(月額65,008円)から779,300円(月額64,941円)に下がります。
※それぞれの年金額の変更(主要なものを記載してます。左側の金額は平成28年度。)
老齢基礎年金満額780,100円→779,300円
障害基礎年金2級780,100円→779,300円
障害基礎年金1級975,100円→974,100円
障害基礎年金に付く子の加算額は1,2人まではそれぞれ224,500円→224,300円
3人目以降は74,800円(変わらず)。
障害厚生年金3級最低保障額585,100円→584,500円。
遺族基礎年金780,100円→779,300円
遺族基礎年金の子の加算額(1,2人まではそれぞれ224,500円→224,300円
3人目以降は74,800円(変わらず)。
遺族厚生年金に加算されてる中高齢寡婦加算585,100円→584,500円。
配偶者加給年金224,500円→224,300円
老齢厚生年金の配偶者加給年金に付く特別加算(昭和18年4月2日以降生まれの人の場合)は165,600円→165,500円
今月の4月分の年金から金額が変わるので実際の振込額への影響は6月15日支払いから出てきます。
こういう経済的理由で年金額が変わる場合は支払い月の7~10日あたりに改定通知書というのが送られてきます。
ちなみに毎年6月は一部の人を除き、年金受給者全員に向こう1年間の年金額を記載した振込通知書が一斉送付されます。
しかし、振込通知書の一斉送付時期に改定通知が重なる場合は、両者のお知らせが1枚に載った統合通知書として送付されます。
だから2枚送られて来るんじゃなくて、1枚にまとめてお知らせが来る。
さて、なんで今年度から年金額が、0.1%下がったんでしょうか?
結論からいうと前年の物価変動率が0.1%(→0.999)下がったから。
賃金(正式には名目手取り賃金変動率という)は1.1%(→0.989)下がっていますが、
なぜ年金受給者を支える現役世代の賃金よりも年金下げ幅が小さいかというと、
物価と賃金が両者ともマイナスだった場合はマイナス幅が小さいほうに合わせるというルールがあるからです。
※年金額改定のルール(参考記事)
↓
http://ameblo.jp/mattsu47/entry-12128998915.html?frm=theme
※注意
平成33年度(2021年4月)からは賃金の下げに合わせる。
だから、現役世代の年金受給者を支える力(賃金)がマイナス1.1%減よりも、
物価変動率を用いる事で年金額の下げ幅は0.1%と小さくなりました。
名目手取り賃金変動率というのは、見るだけでイヤになりそうな用語ですが…中身は、
「物価変動率×実質賃金変動率×可処分所得割合変化率」というもので構成されています。
これら変動率等は毎年1月末にこれらの数値データが厚生労働省HPに出るので確認する程度で構いません。
※平成29年度年金額改定(厚生労働省)
↓
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12502000-Nenkinkyoku-Nenkinka/0000149802.pdf
というわけで、まず下がった老齢基礎年金(障害基礎年金や遺族基礎年金も)の金額で見てみましょう。
基礎年金はこれから年金もらう国民全員に関係してくる年金なので…
平成28年度までは年額780,100円が老齢基礎年金満額でした。
この780,100円という数字は、平成16年に決められた老齢基礎年金満額780,900円に改定率0.999をかけたものが780,100円になっていました。
780,900円(平成16年度額)×0.999=780,119円≒780,100円
※参考
0.999というのは、平成26年度改定率0.985に平成27年度改定率1.014を掛けたもの。
1.014というのは名目手取り賃金変動率1.023にマクロ経済スライド0.991を掛けたもの(このマクロ経済スライドとかいう見るからに嫌な用語は下にザックリ説明)。
平成28年度はルールによりそのまま0.999に据え置いたから年金額は変わらなかった。
で、今回の平成29年度発表の物価変動率が0.1%マイナスだったから0.999に。
実質賃金変動率が0.8%マイナスだから0.992に。
可処分所得割合変化率は0.2%マイナスだから0.998に。
よって賃金(名目手取り賃金変動率)は、
物価変動率0.999×実質賃金変動率0.992×可処分所得割合変化率0.992=0.989(→1.1%マイナス)
しかし、物価変動率が0.1%(→0.999)マイナスなので、マイナス幅が小さいこちらの物価変動率を計算に使う。
今はそういうルール。
よって、平成16年度に決めた老齢基礎年金満額780,900円×改定率0.998{←0.998っていうのは0.999(前年度改定率)×
物価変動率0.999}=779,338円(平成29年度老齢基礎年金満額)
しかし、老齢基礎年金満額の端数処理は1円単位ではなく、
50円以上切り上げて50円未満は切り捨てる為779,338円→779,300円(月額64,941円)となります。
なお、年金額が上がるのを抑制するマクロ経済スライド(平成29年度はマイナス0.5%)というのがあり、
普通は物価や賃金が上がった場合はマクロ経済スライドを使って年金額の上昇を抑制しますが、
今回は物価も賃金もマイナスなので0.5%下げません。
あくまでマクロ経済スライドというのは、
物価や賃金が上がった場合にその上げ幅より下げるものなので、
物価も賃金もマイナスになったら下げません。
マクロ経済スライドというのは、被保険者の減少(年金世代を支える現役世代の力の減少)と、
平均余命の伸び(年金受給者の増加による負担の増加)を年金額に反映させて年金の増額を抑制するもの。
※例題
物価が2%上がり、賃金が1%上がり、マクロ経済スライドが0.6%の場合。
年金額には賃金1%を用いますが、更にここからマクロ経済スライド0.6%を引くので年金額の上げ幅は0.4%になる。
つまり年金の実質価値を下げるのがマクロ経済スライド。年金額そのものを下げるものじゃない。
じゃあ次に厚生年金額はどう変化させるのか。
厚生年金額は過去の給与とか賞与(賞与は平成15年4月以降が年金額に反映)の金額を、
基本的には毎年度物価変動や賃金変動により変化させて、年金額を変動させます。
ところで厚生年金の計算をする時は、過去の厚生年金加入中の時の給与(標準報酬月額という)と賞与(標準賞与額という)に「再評価率」というのを掛けて、
ぜーんぶ足して全厚生年金加入期間で割って平均した金額で年金額を算出します。
もーわかりづらいですよね。。
ホント申し訳ありません(^^;;
簡単に言うと例えば給与(標準報酬月額)は20万×12ヶ月で賞与(標準賞与額)はその間30万×2回でした。
この給与や賞与には既に再評価率を掛けているものとします。
全て足すと、240万+60万=300万
300万円÷12ヶ月(全期間)=25万円
よって平均的な標準報酬の金額は25万円。
厚生年金額(報酬に比例する年金の部分)は25万円÷1000×5.481×12ヶ月=16,443円になります。
さて、先程言った再評価っていうのは、昔の貨幣価値を現在の価値に置き換えるもの。
この再評価ってやつを過去の給与や賞与の金額に掛けて厚生年金額を変動させます。
例えば昭和40年代とかのサラリーマンの平均給与は4万円~7万円くらいでしたが、
その時の低い金額をそのまま現在の年金額に用いたら年金額が下がっちゃいますよね。
だから昔の給与や賞与を現在の貨幣価値に戻すんです。
昭和40年代の給与(仮に月額4万円だったら)を現在の価値に戻すために再評価率は2~6くらいなので、
もしザックリと計算すると再評価率が6だったら4万円×6(再評価率)=24万円になります。
※平成29年度再評価率表(日本年金機構)
↓
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/sonota/20150401-01.files/k29.pdf
厚生年金額を改定する場合は今年度であれば過去のすべての再評価率に0.999(0.1%下げを数値化したもの)を掛けて下げます(直近3年度内の再評価率の数値算出は別物)。
前年度のすべての過去の年度の再評価率に物価変動率とか賃金変動率を掛けて厚生年金額を調整します。
再評価率が変われば年金額に使ってる過去の給与(標準報酬月額)や賞与(標準賞与額)の金額が変わって厚生年金額が変動するってわけです。
さて、再評価率表を見てみると昭和25年4月2日以降生まれで、
昭和46年11月~昭和48年10月の再評価率は3.806ですが、
この時の給与(標準報酬月額)が60,000円だったのであれば、60,000円×3.806÷0.947(←0.947は平成29年度の再評価率。つまり今)=241,140円になります。
ちなみに再評価率は平成5~7年度あたりから1を切って平成29年度の部分だけを見ると0.947になってます。
じゃあ今貰ってる1万円なら価値は9,470円って事になるのか。
そういう計算ではないです(^^;;
例えばさっきのリンクの平成29年度再評価率を見てみると昭和25年4月2日以降生まれで平成24年度は0.980の再評価率になっていますが、
平成24年度に貰った給与(標準報酬月額)が500,000円であれば、
500,000円×0.980÷0.947=517,423円になります。
つまり、過去の再評価率に物価変動率とか賃金変動率を掛けて新しく求めた再評価率に、
過去の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に掛けて厚生年金額を下げたり上げたりするわけですね~
まあ、過去に働いた時の膨大な給与記録とか賞与記録の年金記録を出して再評価率を掛けて、
手計算で年金額出そうとすると気が遠くなるような作業になるのでとりあえずこの記事ではそんな風にやってるんだなと参考程度で構いません^_^
で、もう一つお知らせなんですが今月からの国民年金保険料も変更になります。
平成28年度は月額16,260円でしたが、今月からは月額16,490円に値上げ(230円アップ)。
ちなみに平成30年度は月額16,340円に下がる。
平成16年に国民年金保険料は平成29年度は16,900円を上限にするって決まったんですが、
実は国民年金保険料も物価や賃金の変動に左右されるのでそれを加味するためにこの16,900円に保険料改定率というのを掛けます。
だから毎年、国民年金保険料が変動したりする。
保険料改定率というのは中身は、(前年度の保険料改定率×前年度の名目賃金変動率)
名目賃金変動率っていうのは、物価変動率×実質賃金変動率の事。
※物価変動率とか実質賃金変動率の数値はこの記事の冒頭に書いたように毎年の1月末発表のこちらで確認を(厚生労働省)
↓
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12502000-Nenkinkyoku-Nenkinka/0000149802.pdf
さて、なんで国民年金保険料を16,900円に上限と決めたのに、なぜ平成29年度が16,490円なのか。
平成27年度は物価変動率が0.8%上昇して実質賃金変動率が0.8%下がってるから、
前年度である平成28年度の保険料改定率0.976×前年度である平成28年度の名目賃金変動率1.000{名目賃金変動率→物価変動率(平成27年)1.008×実質賃金変動率(平成24~26年度の平均)0.992}=
0.976(保険料改定率)×16,900円=16,494.4≒
16,490円(10円未満四捨五入)が平成29年4月から払う国民年金保険料です。
また、平成30年度はなぜ16,340円に下がっているのか。
平成16年に決めた国民年金保険料の平成29年度以降の上限額16,900円×{前年度(つまり平成29年度)保険料改定率0.976×前年度(つまり平成29年度)の名目賃金変動率(→平成28年物価変動率0.999×実質賃金変動率0.992=0.991)}=
16,900円×0.967=
16,342円≒16,340円となります。
※平成29年度国民年金保険料前納額(厚生労働省)
↓
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12512000-Nenkinkyoku-Jigyoukanrika/0000149807.pdf
国民年金保険料の内訳をわざわざ知る必要はないですが、一応こんなめんどくさい事やって保険料決めてるんですね~
まあ、年金は物価や賃金に左右されるという事は覚えていていただければ…。
これから経済が成長していけばいいんですけどね~
0コメント