年金請求時にどこかお体が不自由な方はコレを請求すると年金を大きく増やせる事も。

おはようございます。
年金アドバイザーのhirokiです!


これから年金をもらう人は、65歳まではあんまり大した年金額を貰えないのですが、特例として大幅に年金額が増える事があります。

特に障害をお持ちの方とかですね。
なので、今回は65歳前から貰う老齢厚生年金が大幅に増える場合がある「障害者特例」について見ていきましょう。

65歳前から貰える老齢厚生年金を「特別支給の老齢厚生年金」と言いますが、老齢厚生年金で以下統一してます。

1.昭和32年8月9日生まれの女性(今は60歳)
※何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!(参考記事)
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12238615402.html?frm=theme

この人の年金記録。

20歳になる昭和52年8月から昭和58年4月までの69ヶ月は民間企業で厚生年金加入。

昭和58年5月にサラリーマンの男性と婚姻し、
その月から昭和61年3月までの35ヶ月間はサラリーマンの専業主婦として国民年金には任意加入だったが納付せず
(この35ヶ月間は未納期間ではなくカラ期間になり年金の受給資格期間に含むが年金額には全く反映しない)。
※年金貰えるかどうかを左右する事もあるカラ期間(まぐまぐニュース参考記事)
http://www.mag2.com/p/news/224668

そして、昭和61年4月からサラリーマンの専業主婦であろうと国民年金には強制加入になり、
国民年金第3号被保険者として国民年金保険料は納付しないが納付したものと扱う。

昭和61年(1986年)4月から平成8年(1996年)3月までの120ヶ月間は国民年金第3号被保険者だった。

平成8年4月から平成27年6月までの231ヶ月は厚生年金加入。

平成27年7月から60歳前月の平成29年7月までの25ヶ月間は再度、国民年金第1号被保険者として国民年金保険料は全部納めた。


しかし、平成28年5月(初診日は平成28年5月19日)に心臓病によりその後平成28年10月26日に心臓ペースメーカーを装着。

平成28年10月26日以降に障害年金の請求を試みるが、初診日が国民年金第1号被保険者中にあると障害基礎年金のみ(国民年金からだけの給付)になり、
基本的に心臓ペースメーカーは3級相当になるので障害基礎年金は不該当になってしまった(状態によっては2級以上になる事もある)。
障害基礎年金を貰うには1級または2級にならないと年金が支給されない(初診日が厚生年金加入中にある人が貰う障害厚生年金なら3級まで年金が出る)。

で、平成29年8月を迎えて翌月9月分から自分の老齢厚生年金が貰えるようになる。



まずこの女性は65歳になるまでは300ヶ月分(69ヶ月+231ヶ月)の老齢厚生年金(報酬比例部分のみ)を貰う事になる。
ちなみに、老齢厚生年金の計算の際は平成15年3月以前と4月以降で分ける。
4月以降は賞与も年金額に反映するようになったから。

そして、平成15年3月までの厚生年金期間は153ヶ月(69ヶ月+84ヶ月)。
この153ヶ月の間の平均給与(平均標準報酬月額)は210,000円だったとします。

次に平成15年4月から平成27年6月までの147ヶ月の厚生年金期間の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)の平均額(平均標準報酬額という)を300,000円とします。
※年金計算で超重要な標準報酬月額とか標準賞与額って何?(参考記事)
http://ameblo.jp/mattsu47/entry-12269066888.html?frm=theme

※60歳から65歳まで支給される老齢厚生年金(報酬比例部分)。
(210,000円÷1000×7.125×153ヶ月+300,000円÷1000×5.481×147ヶ月)=
228,926円+241,712円=470,638円(月額39,219円)


でも、この女性は平成28年10月26日に心臓ペースメーカー(障害等級は3級相当)を装着されてるので、
老齢厚生年金の障害者特例として請求すると請求月の翌月から老齢厚生年金を大きく増やす事ができる
(障害等級が3級以上の人ならできる。ちなみに障害手帳の等級とは関係無く、障害年金の等級基準で見る)


来月9月から老齢厚生年金を増額させたいなら、8月31日までに請求する必要があります。

ただし、請求日以前1ヶ月以内の障害状態(現症)を記載してもらった診断書が必要。
診断書は病院独自のものではなく、もちろん年金機構備え付けの年金用の診断書に医師に記載してもらう。

また、初診日から1年6ヶ月が経ってる必要があります。
この女性は初診日が平成28年5月19日だから平成29年11月19日以降(この日を障害認定日という)にならないと本来は請求できないですが、
平成28年10月26日に心臓ペースメーカーを装着してるので1年6ヶ月経たなくても特例的に平成28年10月26日に既に満たしている事になる。

このように障害状態によっては1年6ヶ月待つ必要がないものがあります。
例えば腕や脚を切断したらそれ以上の治癒が期待できないから、
1年6ヶ月様子見る意味が無いので切断した日を障害認定日にしたりする。

なお、障害年金請求はキチンとした初診日を特定する必要がありますが、
今回の老齢厚生年金の障害者特例はとりあえず請求までに初診日から1年6ヶ月経ってればいい(今回は1年6ヶ月前で満たしましたが)。


まあ一応それらが揃ってるものとして、8月31日までに請求が間に合ったものとします。

となると、平成29年9月分の老齢厚生年金から定額部分という年金がオマケで付いてくる。
※定額部分→1,625円(平成29年度定額単価)×300ヶ月=487,500円

よって、平成29年9月分から老齢厚生年金(報酬比例部分470,638円+定額部分487,500円)となり、
老齢厚生年金総額は958,138円(月額79,844円)となる。

平成29年9月分から年金が発生するから初回支払いは10月13日(初回支払いは概ね3ヶ月はかかるので11月15日以降にズレる)に9月の1ヶ月分79,844円のみが振込み。
後は偶数月に前2ヶ月分の159,688円(79,844円×2ヶ月)の振込み。

障害者特例が無くて報酬比例部分(月額39,219円)のみの支給だと前2ヶ月分で78,438円のみでしたが、障害者特例で81,250円増額して偶数月に支払われる年金が159,688円になりました。

ちなみに、この女性には厚生年金期間が20年以上(240ヶ月以上)あるし、
65歳未満の生計維持している配偶者がいると更にオマケで平成29年9月分から配偶者加給年金389,800円(月額32,483円)が付く事があります。
※年金でいう生計維持とは(参考記事)
http://ameblo.jp/mattsu47/entry-12194401593.html

普通は自分が65歳にならないと配偶者加給年金は付かないですが、
障害者特例で定額部分を発生させるとその時点で配偶者加給年金を付ける事ができます。

配偶者加給年金が付くのであれば、老齢厚生年金958,138円+配偶者加給年金389,800円=1,347,938円(月額112,328円)になります。
以下、配偶者加給年金も付くものとして話を進めます。

というわけで障害者特例を使うと65歳前の老齢厚生年金が倍くらい増える事があるので、
どこか体が不自由な面がある場合は年金貰う時には頭に入れておくべき内容であります。
請求月の翌月からしか増額しないから。

なお、今回は障害年金の受給権者の障害者特例請求ではなかったですが、
障害年金の受給権者(障害年金を貰えてる人の事)であれば障害者特例による老齢厚生年金の増額は請求月の翌月からではなく、
障害年金の受給権者になった時まで遡って障害者特例が適用されます。
ただし、この遡りの法改正があった平成26年4月までしか遡らない(支給される年金は平成26年5月分以降から)。



ついでに65歳以降の年金総額を算出してみます。

65歳以降は定額部分487,500円は老齢基礎年金に移行する為消滅し、国民年金から老齢基礎年金の支給が始まる。
※老齢基礎年金→779,300円(平成29年度満額)÷480ヶ月×(国民年金保険料納付済期間145ヶ月+20歳から60歳までの間の厚生年金期間300ヶ月)=722,476円

ただし、定額部分から老齢基礎年金に移行する時の差額(経過的加算)を算出。

※経過的加算(差額加算ともいう)→定額部分1,625円×300ヶ月
-老齢基礎年金満額779,300円÷480ヶ月×300ヶ月(昭和36年4月以降の20歳から60歳までの厚生年金期間)=
487,500円-487,063円=437円

よって65歳以降の年金総額は、老齢厚生年金(報酬比例部分470,638円+経過的加算437円)+
老齢基礎年金722,476円+配偶者加給年金389,800円=1,583,351円(月額131,945円)

※追記
老齢厚生年金の支給開始年齢が61〜64歳の人の場合はその年齢に到達しないと定額部分の付いた年金は支給されません。
つまり報酬比例の年金が支給されないと増額しないわけです。
また、障害者特例の老齢厚生年金を貰っている間に新たに再就職などで厚生年金に加入した場合は定額部分や配偶者加給年金は全額停止になるので注意。

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