年金受給者が亡くなったらどうしても発生してしまう未支給年金!一体誰がその年金を貰うのか。

こんばんは!
年金アドバイザーのhirokiです。

年金が支給される時は偶数月の15日に前2ヶ月分が支払われるのが基本です。
年金振込みは今月8月の15日だったから、6月、7月分が支払われたわけです。

で、年金は老齢の年金であれば終身支払われます。

年金の受給権が発生した月の翌月分から死亡した月分まで支払われます。

そう。
死亡した月分まで。

だから8月に年金受給者が亡くなられたら、8月分の年金まで受け取れるわけですね。
ただし、8月分というのは10月15日にならないと貰えません。
つまり死亡した年金受給者本人はこの8月分の1ヶ月分は受け取れないわけです。

この、年金受給者の方が亡くなると必ず発生するのを未支給年金といいます。
年金はこのように前2ヶ月分を後払いしてるから未支給年金がどうしても発生してしまう(何らかの原因で年金が停止されてたとかが無ければ)。


じゃあ年金受給者が受け取れなかったこの年金は誰が受け取るのかというと、遺族が請求した上で遺族に支給されます。

とはいえ、支給される遺族順位者は決まっていて、生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、三親等以内の親族の順で、最優先順位者が請求します。
また、相続とは関係がなく、相続を放棄したとか、遺言で遺産を貰う事を除外されてても未支給年金は請求し、受け取れます。
これは遺族年金にも言える事です。
相続を放棄しても、遺族年金は普通に貰って構わない。

なお、子や孫が遺族年金受け取る際は18歳年度末未満でないといけないという制限がありますが、
未支給年金を請求する場合の子や孫には年齢は関係ありません。


生計を同じくしていたというのは、普通は一緒に住んでて経済的援助があった程度の意味です。
たとえ別居であっても、理由があって別居してたとか、別居してはいるけど金銭的に援助してたとかちょくちょく世話をしに行ってたとかでも大体認められます。
※年金でいう生計同一とか生計維持とは何なのか?(参考記事)
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12299720656.html

一番優先なのは配偶者ですが、年金受給者と配偶者の間に全く生計同一関係がない(なんか別居して全然関わってないとか)なら、下の順位者が請求できる場合もあります。

というわけで事例。

1.昭和25年5月18日生まれの女性(今は67歳)
※何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!(参考記事)
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12238615402.html?frm=theme

※現在受給中の年金。
遺族厚生年金600,000円(月額50,000円)
老齢厚生年金120,000円(月額10,000円)
障害基礎年金1級974,125円(月額81,177円)←障害基礎年金は定額。

遺族厚生年金50,000円+老齢厚生年金10,000円+障害基礎年金1級81,177円=月額合計141,177円で、偶数月に支払われる年金合計額は282,354円。

しかし8月16日に亡くなられた。

となると、8月15日に6月、7月分の2ヶ月分の年金282,354円は振り込まれてるが、8月分の141,177円は受け取っていない。

この8月分の141,177円が未支給年金になる。

この女性(母親)と生計同一関係がある遺族は子である兄と妹の2人とします。
兄は母の介護をして同居。
妹は別居だったが、母の家によく訪問して手伝っていた。

請求者は子であるこの2人になる。

子である兄が未支給年金の請求を行った。

未支給年金は請求時に指定した振込口座に振り込まれる。

なお、一人がした請求はその全員にしたものとみなされる。
つまり、兄に振り込んだ未支給年金は兄と妹の2人に支給したものとみなすわけです。
未支給年金が受け取れるのは兄と妹ではありますが、必ず半分こして受給してねって決まりはありません^^;
遺族年金を子等が複数人で貰う場合は人数で按分して支給する。

ちなみに、未支給年金請求には時効があり、5年以内に請求しないのであれば受け取れなくなる。
例えば平成29年8月に亡くなられたら、平成34年10月31日までに請求しないと時効で消滅する。
なぜ、平成34年10月31日までなのかというと、8月分は10月にならないと受け取れないから。

じゃあ次は8月15日の年金支払い日前に死亡された場合はどうでしょうか。

例えば8月6日に亡くなられたら、まだ6月、7月分の年金が支払われていないため、
死亡月である8月分の未支給年金と合わせると請求により支払われる未支給年金は3ヶ月分になるので、141,177円×3ヶ月=423,531円となります。

なお、年金振込日である8月15日に年金が支払われた場合は6月、7月分の年金は未支給年金にはならず、通常の年金として支払われたものとなる。
だから、6月、7月分の年金は未支給年金請求の対象にはならず、請求は8月分の1ヶ月分のみ。


あと、ココが大事な所なんですが、最後に例えば9月25日に亡くなられたとします。
この場合は8月分と9月分の10月15日に支払われるはずだった計282,354円が未支給年金になりますよね。

まあ、ここまではいいんですが、死亡した年金受給者の銀行口座が凍結等せずに、
時々そのまま通常通り10月15日に振り込まれたりするんですね(先程の8月6日死亡の場合は8月15日に振り込まれなかった前提で書きましたが…)。

もう正常に年金受給者の振込口座に年金入ったからそれで未支給年金請求しなくていいのでは?って思いますよね。

でも請求しないのであれば貰う事は出来ません。

年金受給者の死亡した後の年金は全て未支給年金になるので、
遺族が請求しないのであればこの正常に振り込まれてしまった282,354円は年金機構に返金してもらわなければいけません。

普通は年金受給者が死亡した場合は年金事務所や年金ダイヤル、市役所等に死亡連絡をすると、
年金が振り込まれないように一旦年金支払いを保留する(死亡保留という)という処理をします。
なぜ一旦年金の支払いを止めなければならないかというと、
死亡者の口座に年金がそのまま振り込まれてしまうと年金の払い過ぎが発生したり、
また、死亡者の預金口座からお金を引き出す場合はそう簡単に引き出せなくなるから。

でも死亡の連絡が年金振込月の前月の20日(大体この日前後が年金振込を確定させる年金の締め日)を超えると、
年金振込が確定されてしまうのでこの例の9月25日死亡の場合は振込口座を凍結してもらうとか口座解約等がなければそのまま年金が入金されてしまう。

通常通り入金されてしまったとします。

でもこの入金された282,354円は遺族が請求しないなら貰う事はできないお金なので、未支給年金請求を子である妹がやったとします。

大体、未支給年金の支払いは請求後3~4ヶ月かかりますが、この場合に振り込まれる未支給年金はありません。

なぜかというと、既に入金されちゃってますよね。
だから、年金受給者が死亡すると必ず未支給年金は発生はしますが、
死亡した受給者の口座に既に入金されていた場合は未支給年金の振込が無い場合もあります。
でも請求しないと受け取ってはダメなんですね~(^^;;

ちなみに、請求せずに5年の時効を過ぎると282,354円は年金機構に返さなければいけなくなる。

※追記
年金受給者が年の途中で死亡した場合は、相続人が相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に準確定申告が必要になります(ただし、公的年金に係る収入が400万円以下、かつ他の所得が20万円以下だったなら準確定申告する必要は無い)。

この時は準確定申告用の源泉徴収票が必要になりますが、死亡届を出した遺族に自動的に送られてきます(死亡届は未支給年金請求書とセットになっている)。
ただし、死亡届を出した遺族が配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹以外だったら年金事務所に準確の源泉徴収票を申請する必要があります。

なお、年金受給者が亡くなったのが12月16日から翌年の2月14日の間の場合は準確定申告用の源泉徴収票は送られてきません。
通常の翌年1月末に送られてくる通常の源泉徴収票を用います。

あと、住民税はその年の1月1日に居住している場合にその市区町村から課税されますが、前年に亡くなった場合は住民税はかからない。
だから今年中に亡くなったら、相続人が翌年支払う住民税は無い。
また、未支給年金額が50万超えてくると一時所得になり、所得税や住民税がかかることがあります。
この亡くなった女性が受けていた年金の中に遺族厚生年金や障害基礎年金という非課税年金が含まれていましたが、
未支給年金になると請求して受け取った遺族の一時所得になる。
にしても、未支給年金であんまり50万超える事って少ないですけどね…

ただし死亡者が年金請求してなくて何年も貰ってなかったとか、過去の年金記録が漏れてたのが見つかって過去に何十年も遡ったりすると未支給年金が数百万行く時もあります。

まだご存命の年金受給者に記録漏れの年金を遡って支払う場合は、
年金の時効内の直近5年分を先に払い、その後時効消滅した5年を超える分を支払います。
5年を超える分は時効消滅してるから税金はかからない。
例えば60歳から年金貰ってる現在ご存命の80歳の人に過去の年金記録漏れが見つかって年金が遡って訂正された場合は(年金年額170万から200万に訂正とか)、
年金の時効にかからない直近5年分の差額150万円(30万円×5年)を先に一時金で支払い、
残り15年分の5年を超える分の差額450万円(30万円×15年)は税金がかからない時効特例給付として一時金で支払う。
この時の直近5年分の一時金は一時所得ではなく各年の雑所得扱い。
年金記録漏れの訂正で1,000万円超の未支給年金も稀ですがありましたね…^^;

逆に、死亡した年金受給者の年金記録訂正で5年を超える分が遺族に未支給年金として支払われる場合は既に時効を迎えた分の支払いになるので、
その分はもう課税権が消滅してしまっているので税金の申告は不要となる(国税通則法第72条)。
直近5年分の未支給年金は一時所得。

佐賀の年金アドバイザーhirokiの楽しく学ぶ公的年金講座

主に年金の事を中心に書いています^_^ 読者の皆様に少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。

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